筆跡心理学の歴史
筆跡心理学の起源は西欧
筆跡心理学は,フランス,ドイツ,イタリアなどの西欧諸国では「グラフォロジー」と呼ばれており,ルネッサンス時代には,書く人によって変化する筆跡とその人の性格との関連が行われていたようで,筆跡と人の行動に関する研究は1600年代初頭にイタリアで行われたものが最初であると言われています。また,西欧の詩人や小説家,劇作家などの文豪達も筆跡と性格の関連性について研究をしたといわれています。
現在までグラフォロジーの総本山として位置付けられている「フランスグラフォロジー協会」は,1870年代にミション系の神父によって創設され,以来,西欧のグラフォロジーの主導的役割を果たしています。フランスグラフオロジー協会には,アルベルト・シュヴァイツァーやアンドレ・ジッドなどノーベル賞受賞者も在籍していたことからも分かるように,大変権威のある団体として認められています。
筆跡心理学の20世紀
20世紀に入り,精神分析や近代性格学などの新しい学問が発達してきたことに併せグラフォロジーは『筆跡心理学』とて合流し,科学的な学問として発達しました。特にグラフォロジー発祥の地であるフランスをはじめとする西欧諸国は大変盛んで,国際学会なども開催されるほどです。
筆跡心理学と日本の結びつき
日本における筆跡心理学の創始者は森岡恒舟氏で,森岡氏は書道学校を主宰するかたわら独自の研究を重ねほぼ40年かけての日本独自の筆跡心理学を確立しました。
また,槇田仁氏が「筆跡性格学」を研究するなど,日本の筆跡心理学は西欧に比べると歴史は浅いかも知れませんが,研究は盛んに行われています。
筆跡心理学が日本になじんだ理由として,私は,日本では印鑑を持つ文化があり『印相』という思想を併せ持つので,筆跡をもこれになぞらえた考え方があったと考察しており,それが西欧のグラフォロジーと一線を画していると思います。