赤外線カメラ

赤外線カメラ

赤外線カメラとは

赤外線カメラとは,対象物に赤外線を照射して反射された赤外線を撮影できるカメラのことです。通常のカメラは赤外線を取り込まないように設計されているので赤外線を撮影することができません。
カメラメーカーからは業務用カメラとして医療や文化財などの研究機関用として販売されていますが,赤外線カメラは盗撮などに悪用される危険性をはらんでいますので市場には流通しておらず一般の方は購入することができません。また購入する際にはカメラメーカーの審査があり特殊な契約が必要となります。
弊所では赤外線カメラを所有しており,赤外線カメラによる赤外線透過調査や古美術品の撮影代行などを承っております。

赤外線カメラによる透過検査

弊所ではPENTAX KP-IRという赤外線カメラを所有しており,遺言書の偽造や領収証等の加筆改ざんを赤外線カメラで透過検査することにより明らかとしています。
また,とあるお店でスタッフが使用する黒いユニフォームに黒いフェルトペンで落書きされた筆跡があり,光の当て方により肉眼で微かに何が書いてあるかわかるという程度だった筆跡を赤外線カメラで撮影して可視化。その後,筆跡鑑定を行い落書きした人物を特定することに役立ちました。

赤外線カメラ機材一式

赤外線撮影用機材-田村鑑定調査2020
赤外線撮影用機材や接写撮影用機材など。
赤外線撮影用カメラPENTAX KP-IR:田村鑑定調査
赤外線撮影には,PENTAX KP-IRを使用しています。

赤外線撮影では以下のように波長が異なる赤外線の撮影が可能です。

富士フィルム製 NEEWER製 リコー製
IR-76(760nm) IR720(720nm) IR840(840nm)
IR-78(780nm) IR760(760nm)
IR-80(800nm) IR850(850nm)
IR-82(820nm) IR950(950nm)
IR-84(840nm)
IR-86(860nm)
IR-88(880nm)
IR-90(900nm)
IR-96(960nm)

赤外線カメラによる透過撮影調査の費用はこちらをご覧ください。

赤外線カメラによる撮影代行

個人で所有されている古美術品などを赤外線カメラを使い撮影するためには,博物館や文化財研究所などに依頼することになりますが,個人で申し込むのは敷居が高く,引き受けてもらえるかもわかりません。
弊所では赤外線カメラによる撮影代行を行っておりますので,個人で所有される古美術品などを赤外線撮影してみたい。という方は是非ご利用ください。
下図は弊所へ古美術品をお持ち込みになられ,赤外線カメラで撮影代行承ったお客様の一例です。

赤外線カメラにより古文書を撮影

赤外線カメラで撮影代行:通常光撮影(鑑真奉請経)
紙に毛筆で書かれていますが古いものであるためか筆跡は薄く,所々破れたり虫食いがあったりして判読が困難な状態です。
赤外線カメラで撮影代行:赤外線透過光撮影(鑑真奉請経)
赤外線カメラにより撮影した画像です。墨は赤外線を透過しないため薄くなっていた箇所も鮮明に観察することができます。

赤外線カメラにより古美術品を撮影

赤外線カメラで撮影代行:通常光撮影(周之冕 崇禎亭未夏季寫扵玉仙堂)
布地に絵画が描かれ毛筆による書も見えますが,どちらも薄くてよく見えない状態です。
赤外線カメラで撮影代行:赤外線透過光撮影(周之冕 崇禎亭未夏季寫扵玉仙堂)
赤外線カメラにより撮影した画像です。絵画は花や鳥の細部まで観察することができ,書は文字が明確になりました。

上図のように,古美術品などを赤外線カメラで撮影してみたい。という方は是非ご相談ください。

Posted by 鑑定人 田村真樹