筆跡鑑定人の日常:コミュニティに参加する

筆跡試料作成2019

筆跡鑑定に必要な多角的視野は,人の話から学ぶ

私は,鑑定人という職業柄,「日本筆跡鑑定協会」という鑑定人で結成されたコミュニティに参加しています。この会では事務局長を務めており定例会などの幹事も行っています。そこには鑑定人を職業とする方々が集まり様々な話をしますので,筆跡鑑定はもとより,印章鑑定や指紋鑑定,DNA鑑定,古貨幣鑑定に至るまで専門的な視野を広げることができます。

他業種の意見が筆跡鑑定のヒントになる

その他,横浜商工会議所のパーティーに参加した際には,弊所のホームページを制作していただいたWEBデザイナーの方や,弁護士や司法書士の方,保険会社の役員や東南アジアとの貿易をしている社長さんなどとお話させていただき,世間の流れの速さを痛感するとともに,日本国内にとどまらない自由な生き方を感じさせていただくことができ,従来の形式にとらわれない鑑定書の作成に役立ちました。

現在の鑑定方法を確立するきっかけは町内会にあり

また,私は地元自治会にも役員として参加しており,地域にお住いの方,老若男女問わず話をする機会がありますが,経験則に基づくご意見が,あながち非科学的でもないことに気づくきっかけを得ることができ,「伝統的な筆跡鑑定」の手法を積極的に取り入れて,第三者の検証が可能なようにハイブリット化を実現することに成功しました。

井の中の蛙にならぬ努力は常に必要

鑑定人という仕事をしていると,鑑定結果を迫られた際に独断が求められるため,ともすると偏見に陥ります。「忖度しないように」との祈りを欠かさず日々を過ごしても,やがて「慣れ」が生まれて気持ちが楽になります。そうした隙に怠慢が潜みます。怠慢は思考を停止させ,停止した思考を正当化するために傲慢が生まれます。傲慢は鑑定作業に「流れ」を作り,流れ作業で行われた鑑定結果は間違いを見落とします。間違った鑑定結果は多くの人に悪影響と不利益を与えます。

風通し良く生きるためには,人と話をして,心の均衡を保とうと努力することが必要です。

これは筆跡鑑定人も同じ。それも聞き役に回るだけでは足りず,意見を言って反論してもらう機会が必要です。鑑定人の日常は,己の意見を常に更新しながら,守り続ける努力も要するのです。

通算99回目の筆跡試料作成

2019年5月21日筆跡試料の作成

本日の横浜は未明から悪天候です。

そんな中,お客様がお送りいただいた書類を郵便配達員さんが届けてくれたのですが,透明のフィルムで包んでありました。きっと,雨に濡れないようにとのご配慮かと思いますが,土砂降りの雨の中を配達するだけでも大変なのに,お気遣いまでいただき,大変ありがたく思います。


最後までお読みいただき,ありがとうございます。