ラブレターの筆跡鑑定

筆跡試料作成2019

花のお便り

2019年12月シクラメンをいただきました

お中元とお歳暮の時期に生花を送ってくださる方から,今年もきれいなシクラメンが届きました。

写真では葉の中心付近に花が集中していますが,年越し頃には花があちらこちらから芽吹いてきて満開になります。今年もありがとうございます。

お便りといえば今年はラブレターの筆跡鑑定を行いましたので,その時のエピソードを構成をかえてご紹介します。

今も昔もラブレターは変わらない

高校生など未成年者からのご依頼は保護者のご承諾が必要になりますが,メールでいただいた文面から深刻な胸のうちが伝わりましたので,筆跡鑑定の結果を知った後の考え方や行動についてアドバイスを行い,電話での質疑応答を繰り返して全責任は私がとる覚悟で受件をさせたいただきました。

依頼内容は,ラブレターを受け取ったはいいが,書いた人物が本当にその人かどうかわからず,誰かのイタズラではないかと疑念まで湧いてきた。という深刻な状況にあり,思い切ってご相談されてきた言葉には,まじめな恋愛観が伝わってきました。

ただし,ラブレターの筆跡鑑定はいくつか問題もありました。それは返事の期限が設けられており時間がないこと。二つ目は差出人の筆跡を持っていないことでした。差出人の筆跡を集めることはかなり難航すると予想されましたので,結果として鑑定日数がかかることが懸念されたのですが,差出人と同じ中学出身の人が通う高校に,依頼人の中学時代の友人がおり,固く口止めしたうえで過去の筆跡を借りることができ,比較的スムーズに筆跡鑑定を行うことができました。

実際にラブレターの筆跡を見ると,できるだけていねいに書こうとしている様子がうかがえ,SNSの普及により文字離れが進んでいると言われるものの,自分の気持ちを相手に伝えることがきちんとした文章でつづられていて読みやすく,筆跡鑑定のしやすい状態でした。

数十年間忘れていた感覚が思いだされた,貴重な日々でもありました。

筆跡鑑定ができたことに驚く

正直に申し上げて,ラブレターの筆跡鑑定は複数のハードルがあり,この案件は難航するのでは。と予想していたのですが,とんとん拍子に話と鑑定作業が進み,最初の相談から鑑定結果の報告までに要した時間は「5日」でした。これは自分でも驚いています。

よくよく考えてみると,この依頼主である高校生は一週間以内に筆跡鑑定まで行って裏を取り差出人に返事をしているわけで,大人にはない行動力があるなぁと感心してしまいました。

今もお二人の関係がうまくいっていることをお祈りいたします。

119回目の筆跡試料の作成

2019年12月11日 筆跡鑑定の研究用試料の作成

暖かい日が続くそうで,過ごしやすい年末になりそうです。

最後まで気を引き締めて頑張りましょう。


最後までお読みいただき,ありがとうございました。