自筆証書遺言書保管制度の利用方法
遺言書が法務局で保管できる
7月10日(金曜日)から全国312か所の法務局で,いわゆる“手書きの遺言書”である「自筆証書遺言書」を保管しておける制度がスタートします。これに先立ち,本日7月1日より予約受付がスタートしました。
利用される方は事前準備が必要ですので以下の点にご注意ください。
遺言書を保管できる法務局
自筆証書遺言書を保管できる法務局を「遺言書保管所」と呼びますが,その場所は適当に選ぶことができません。次のいずれかから選ぶようになっています。
- 住所地
- 本籍地
- 所有する不動産の所在地を管轄する法務局(遺言書保管地)
ほとんどの方は「お住まいの地域の法務局」になるのではないでしょうか。
全ての手続きには予約が必要になります。
遺言書の保管に係る料金
自筆証書遺言を法務局(遺言書保管地)に預けるとき,遺言書1通当たり3,900円の料金がかかります。また,保管申請は遺言者にしかできません。
遺言書を保管するときにチェックされる項目
自筆証書遺言書保管制度を利用するには,遺言書の形式にも注意が必要です。
- A4サイズの用紙を使用する
- 用紙には,上部5㎜・右端5㎜・左端20㎜・下部10㎜以上の余白を設ける
- 長期保存に適した油性ボールペンなどの筆記具で書く
- 日付を正確に記す
- 相続人には「相続させる」や「遺贈する」と書く
- 相続人以外の者には「遺贈する」と書く
- 書き間違えや文章を変更した箇所には訂正印を押し,欄外にその旨を明記する
- 本文と目録の全部に署名する
- 本文と目録の全部に押印する(認印でもOK。スタンプ印はダメ)
- 余白や裏面には何も書いてはいけない
制約が多いようにも見えますが大切な書類なのできちんとした遺言書を作りましょう。
自筆証書遺言書保管制度で気をつけたいこと
自筆証書遺言書保管制度は自分が書いた遺言書を安全な場所に保管できるので,万一の災害や火災などによる消失から守ることができ,自分の死後に遺言書を棄損されるといった心配もありませんが,以下の点に気を付ける必要があります。
- 遺言書の内容が正確であるかの保証はない
- 遺言書を書く能力がある(あった)ことを保証しない
- 遺言書が遺言者の意志を反映したものであるという保証はない
要約すると,法務局(遺言書保管地)に自筆証書遺言書を保管しても,その遺言書が有効であると保証される訳ではないということです。また,自筆証書遺言書保管制度を利用する際に窓口で,遺言書の内容を相談することもできませんので,あらかじめきちんとした内容の遺言書を作成する必要があります。
よくわからない方や自信がないという方は,専門の書籍や遺言書作成キット等を活用するほか,遺産相続に詳しい弁護士さんなどに確認してもらうのも良いかも知れません。
いずれにせよ,遺産相続ならぬ遺産「争族」が起きないよう,安価で安心できる制度を有効に利用したいものです。
詳しく知りたい方は,法務省の自筆証書遺言書保管制度に関するホームページをご覧ください。
筆跡試料の作成:139回目
問題:1月1日から6月30日までと7月1日から12月31まで,日数が多いのはどちらでしょうか。
答え:7月1日から12月31まで。
1月1日から6月30日までは182日,7月1日から12月31までが184日なので2日多くなります。
今年はうるう年なので1日縮まりますが,平年は3日の開きがあります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
次回のブログ更新まで,あなたと私に良い風が吹きますように。