筆跡

筆跡試料作成2020

筆跡(ひっせき)とは

筆跡とは,硬筆や毛筆などの筆記具を使ったり,指などでなぞったりして,直接書き表した文字の痕跡です。
一説では,全世界には7,000近い言語が存在し,文字で表される言語=筆跡が存在する言語は400~500程度と言われており,言語全体の10%に満たないのですが,それでも膨大な種類の筆跡(言語)が存在すると言えます。
余談ですが,Windowsなどを使い始めるとき,言語設定しようとすると膨大な数の言語名が出てきて「日本語」を探すのに苦労することがありますが,そうしたことからも筆跡の多様性を知ることができます。

筆跡と筆蹟

漢字で書くときは筆跡と書かれることが多く,一部では筆蹟と書く方もいらっしゃいますが,どちらも意味は同じです。
「筆」には筆記具という意味の他,「書く」という行為を表すことがあります。
「跡」も「蹟」も,「物事が行われたことのあとかた」という意味を持ちますので,「筆跡」は「書いたことのあとかた」を意味することがわかります。

筆跡の成り立ちと変遷

先史時代,古代の神官や巫女などのいわゆる「シャーマン」に属する人が,狩猟の成果や農作物の出来を「占う」ために,亀の甲羅や動物の骨などに石器を使い,獲物や農作物,日時にあたる象形文字を引っ掻くように書いた「甲骨文字」が,人類最初の筆跡と言われています。
その後,甲羅や骨が粘土(レンガ)に変わり,青銅に文字を彫刻して残す「金文」へ発達し,竹や木を糸ですだれ状に編んだ物やパピルス,紙へと筆跡を残す対象物を変化させながら進化し,現在ではタブレットや空中などに筆跡を残すことも可能となっています。

筆跡と引っ掻く

ネット上では,亀の甲羅や動物の骨に「引っ掻き(ひっかき)」ながら書く行為を,「筆跡(ひっせき)」という言葉にかけて関連性を持たせた記述が見られます。
引っ掻き=日本語,筆跡=中国語と,言語が異なりますのでダジャレのようなものですが,納得させられてしまう魅力のある説明の仕方だなと感心してしまいます。

通算142回目の筆跡試料の作成

筆跡鑑定と印章鑑定の研究用試料の作成:2020年8月1日

ようやくの梅雨明けに気分が浮かれそうですが,神奈川県は感染者数が増加傾向にあるため,ひたすら自粛です。

そんな中,鑑定用書類のお持ち込みに対応できるしくみを考えていますが,得体の知れないウイルスですので,あれこれと想像してみては打ち消すような日々が続いております。

実は,鑑定用書類をお持ち込みになりたいと仰るお客様が多く,現在はご遠慮いただいておりますが,何らかの対策を講じて再開したいと思います。

それにしても,昨年のいまごろは,このような対策を講じようと思案することになるとは夢にも思っていませんでした…まさに諸行無常ですね。


最後までお読みいただきありがとうございます。
次回のブログ更新まで,あなたと私に良い風が吹きますように。